
物流の全体最適を目指して ー部分最適の落とし穴とはー
シンクロジスティクスの一木です。
今回は「物流の全体最適を目指して」というテーマについて前編・後編に分けてお話ししたいと思います。
物流業に携わる人たちは、それぞれが自身の持ち場で工夫を重ねています。倉庫で働く人、トラックを運行する人、通関業務を行う人——誰もが自分の担当範囲の最適化を意識し、懸命に努力しています。その姿勢はとても尊いものです。しかし、各部署や職種の取り組みを見聞きすると、その努力が全体の成果として十分に結実していない場面があることに気づかされます。これは関わる人々の努力が足りないからではなく、「部分最適」と「全体最適」の間に横たわる構造的な課題です。
前編ではこの背景と課題の整理を、後編ではわたしたちシンクロジスティクスが行っている取り組みと今後の展望についてご紹介します。
■ 物流業界の成長がもたらした分業の仕組み
これまでの物流業界の成り立ちを振り返ってみましょう。物流業界は、日本の経済成長とともに大きくなり、取扱量は急速に増加していきました。その結果、元々の労働力だけでは物流業を回すことが難しくなったため、人員を増やし、役割を細かく分けて分業化を進めることで、効率を高めて対応していくようになりました。
分業は合理的な仕組みでした。輸送を手配するチーム、荷物を運ぶチーム、倉庫管理を行うチーム…それぞれの専門性を高めることで、大量の荷物を動かせるようになったのです。そして、物流業界の拡大とともに分業化はさらに進み、輸送手配のひとつをとっても、A地点からB地点までの管理、B地点からC地点までの管理、とさらに細かく分けられるようになりました。こうして、それぞれの専門性は向上し、目の前の自分の役割に意識が集中するような構造が出来上がったのです。
■ 狭まる視野、散らばる情報
つまり、分業の結果、物流業に携わる人の多くは「自分の担当範囲をどう最適化するか」という視点で動くようになりました。それ自体は自然な流れであり、責任感の表れでもあります。
しかし、各自が自分の担当範囲に意識を集中するあまり、物流全体の流れを俯瞰する視点が少しずつ失われていきました。さらに、分業化による部分最適が進み、同じ情報でも、各担当ごとに、“自分たちが分かりやすいような”別々の形式で管理していったため、情報が散在するようになったのです。
その結果、担当間の意思疎通に手間がかかったり、同じ荷物の情報が二重・三重に確認されるなど小さな摩擦が生まれています。各自が懸命に取り組んでいるにもかかわらず、全体の流れを見通す視点が薄れ、情報も各所に散在しているため、その努力が全体の成果として十分に活かされない、もったいない状況になっているのです。
■ 全体最適に向けての問い
こうした状況を前に、私は単に個々の効率化だけに頼るのではなく、物流全体の流れを見据えた取り組みが必要だと考えています。では、どうすれば全体の流れを見渡し、分散した情報をひとつにつなげていけるのでしょうか——この問いに対して、私たちは自社での取り組みを通じて解決策を模索しています。
後編では、その具体的な取り組みや今後の展望について紹介していきたいと思います。皆さんの現場でも、同じような摩擦やロスは起きていないでしょうか?後編が配信されるまでの間、ぜひ一度考えてみてください。きっと新しい発見があるはずです。
少し硬い話になってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。後編も引き続きお付き合いいただければ幸いです。






