中古車輸出における港利用の特性

シンクロジスティクスの一木です。

知っているようで意外と知らない港の世界。
私たちが日常的に利用している海運や、業務で関わる港湾施設も、多くの関係者が関わる複雑な仕組みの上で動いています。今回は港の構造や港運がどのように成り立っているのかを整理し、考察してみたいと思います。

■ 港の機能と目的

港は、莫大な初期投資を必要とするインフラです。岸壁やヤード、荷役設備など、民間企業が単独で整備するには負担が大きく、多くの場合、行政主体で整備・運営されています。そしてその根底には、「輸出入を促進し、国全体の経済活動を支える」という公益的な目的があります。港は、物流の結節点として、モノが集約され、流れ、次へとつながっていく役割を担っているのです。

この目的を実現するために、行政は収益よりも公益性を重要視した利用を推進しています。貨物の取扱量が少ないと、輸出入そのものが停滞し、結果として経済活動全体にも影響が及んでしまうからです。

■ 複数視点が生む物流のジレンマ

港には、さまざまな立場の組織が関わっています。港の持ち主である行政、港の施設を行政から借りて運営している港湾運営会社、そして港を利用して貨物を輸出入する事業者です。それぞれの立場には独自の合理性があり、互いに異なる視点で成立しています。前述の通り、行政は港が常に活発に動き、経済活動を支えることを求めています。港湾運営会社は、地域のインフラとして安定的なサービス提供に取り組んでいます。輸出入事業者は、コストを抑えつつ貨物の輸出入を効率的にしたいというニーズを持っています。もちろん、港をめぐるこうした構造の中には、私たち自身も含まれており、関係各所のご協力のもと自社ヤードを運営する立場で港の運営と向き合うこともあれば、荷主様の車両を手配し、港を利用する立場で関わることもあります。

このように港には複数の立場や思惑が交錯しており、例えば、輸出入事業者はコストや輸送計画の都合から、滞留を前提とした港利用を選ぶことがあります。そして港湾業者はこのニーズに応えるために、在庫を持つサービスを提供する場合があります。港を運用する側にとっては、利用者の利便性や柔軟な対応も港の価値の一つになるのです。こうした状態が積み重なると、港のスペースが徐々に圧迫され、本来求められている物流の結節点としての機能が発揮しづらくなってしまいます。港は「滞りなく動くこと」を理想的な状態として設計されているため、長期在庫は港の目指すべき理想の運用との間に構造的なズレを生じさせてしまうのです。

ただし、車の輸出は、仕向け地や販売形態によって前提条件が大きく異なり、ビジネスモデルも年々細分化してきていると感じます。その中でも、たとえ滞留を伴っていたとしても「多くの貨物を持続的に動かす」輸出入事業者は、港湾利用の本来の意義と親和性が高いとも言えます。

■ 港の本質と合致した物流戦略

そうしたジレンマを解決する方法はあるのでしょうか。

日本国内で在庫を持つことを前提としたビジネスモデルに対しては、港以外のヤードを利用するなどの工夫次第で「多くの貨物を滞りなく動かし続ける」仕組みを構築することは可能です。私たちはロジスティクスをつくる会社として、そうした前提条件を一律に良し悪しで判断するのではなく、それぞれのビジネスに合わせた最適な物流の形を、個別に設計し、提供していきたいと考えています。港の特性を正しく理解したうえで、現場に合ったロジスティクスを構築していく。その積み重ねが、結果としてお客様の発展につながると信じています。

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