物流(貿易)を改善する考え方①

SYNC LOGISTICS 一木です。

本日は当社がロジスティクスサービスを構築する際や、物流面の問題が起こった際に指針としている考え方について共有をいたします。

 

■体力差があるグループの山登りを考える。

突然ですが、みなさん。複数の人数で山登りをされたことはあるでしょうか?

子供からお年寄り、男女が混ざっていて、それぞれの人が持っているリュックの重さやサイズがバラバラなものをイメージしてください。頂上の素晴らしい景色を見るために、和気あいあいの雰囲気で登山が始まります。自然の空気を楽しみながら登る40代の男性、同伴者との会話を楽しみながら登る30代の女性、休憩所でのお弁当を楽しみに登る小学生。体力には自信はあるが、最近太り気味の

70代のお年寄り。といったようなメンバーで山を登っていると、異変が起きます。『日が暮れる前に、早く登らないと。』『膝が痛いなぁ。』『もっと、ゆっくり登らないと息切れしちゃう。』『リュックが肩に擦れて痛いよ。』といった声が聞こえてきます。登山経験の有無、当日の体調、一人ひとりの体重など同じ山に登るとしても、かかる負荷には違いがあるためこういった状況が生まれるかと思います。こういった状況を効果的に解決していくものが制約理論(Theory of constraints)になります。

 

■弱い部分(人)を支え、全体の生産性を上げる考え方。

制約理論(Theory of constraints)とは、システムのパフォーマンス向上を実現するための理論でイスラエルの物理学者・エリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu Moshe Goldratt)によって提唱されたものです。ボトルネックと呼ばれる全ての工程の中で最も処理量が小さい工程に着目し、以下の工程で“全体の処理量を最大化します。

 

(1)システムの制約条件を見つける、

(2)制約条件を徹底活用する、

(3)制約条件以外のすべてを制約条件に従属させる、

(4)制約条件の能力を高める

(5)制約条件が解消されたら(1)に戻り繰り返す、

 

山登りの場合、

(1)メンバーの中で、もっとも体力が低い人を見つける。

(2)先頭を歩かせる。(立ち止まる時間を最小にする。)

(3)体力が低い人のリュックを分担してメンバーで持つ。

(4)杖や防寒具など、体力が低い人を最優先に装備を充実させる。

この4工程を繰り返すことになります。

 

■物流現場で起こっているトラブルの仕組み

実際の物流現場でも、こういった状態が頻繁に発生いたします。中古車輸出の国内物流はオークション会場からの陸送からスタートし、輸出YARDにおける入庫作業、写真撮影、保管、出庫、船舶BOOKING、輸出通関、VANNING、船側 GO DOWN、ドレージといった工程が発生いたします。それぞれの工程には、保管スペース、人員、船のスペース、トラクターヘッドの数といった多くの制約条件がございます。現場に関わる方々は、自分の役割をひたむきに取り組まれておりますが、”全体の処理量の限界を超えた瞬間”に様々な問題が一気に表面化します。

現在発生しているような船舶スペースの慢性的な不足が発生した場合、船積みが出来ないため保管スペースの不足が生まれたり、突然生まれた船のスペースへ作業依頼が集中してしまい大きな負担が、通関士さんや現場の作業員さんにかかったりします。一つのボトルネックから様々な問題が発生してしまうため、どこから手をつけていいのかわからなくなり、まず、ストップしてしまう。これが日本中の物流現場で起こっているトラブルの仕組みです。

次回は、実際の物流を改善するプロセスの例について共有をさせて頂きます。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。