物流(貿易)を改善する考え方②

物流(貿易)を改善する考え方②

 

SYNC LOGISTICS 一木です。

先週に引き続き、当社が実際の物流を改善するプロセスについて共有をいたします。

 

■鉛筆と消しゴムでフローチャートを書く。

物流(貿易)を改善していくには、サプライチェーン全体の理解が必要だと良く言われます。モノがA地点からB地点に動いていくまでのプロセスの中で、どんな手続きが必要で、どんな法律が適用されているか?どんな関係者が、どんな利害関係で動いているのか?といった知識を増やし続ける必要がございます。書籍やインターネットの情報を利用することもあれば、実際に関係者のヒアリングをしていく中でサプライチェーンをイメージしていきます。現在では頭の中でフローチャートを描くことができるようになりましたが、この業界に入った10年前は箇条書きでプロセスを書き出したり、シャーペンと消しゴムでフローチャートを何度も書いたりして理解を進めていました。

 

■ボトルネックの種類は思いもよらない場合もある。

①ヒト(社員、顧客、協力業者)
②モノ(現場、設備、機材、資材)
③コト(サービス、プロセス、時間、ルール、方針)
④情報(データ、情報、知識、知恵)
物流全体のボトルネックは様々な要因によって、引き起こされます。

人員不足や機材の供給が追いついていない場合(①②)や特定の工程手続きがミスを誘発しやすいプロセスになっていたり(③)、手配側と現場側の間において情報の共有が甘くなっていたり、そもそも勘違いや知識不足がボトルネックの原因になっているケースも多くございます。(④)また、悲しい問題の一つに形骸化したルールを関係者が全員守っていて、『そのルールは何のためのルールなのでしょうか?』という質問に対し、誰も答えられない場合がございます。社内外のミーティングにおいても、何のために?といった確認を大切にしているのは、改善や施策が目的に沿っているからこそ効果が最大化されるからです。

 

実際にこういった事案がございました。

特定の仕向国において、貨物である中古自動車に検疫が義務付けられた国がございました。

輸出先国の生態系を守るために、

(1)車両の下回りに泥がついていないかを確認する輸出検査

(2)泥がついていた場合に必要な洗浄作業

を工程として組み込む必要がございました。

この際に(2)の洗浄作業のリソース(人と稼働時間)がボトルネックになってしまい、輸出が滞るといった事案が発生しました。『一旦、車の搬入を止める。』『輸出検査の実施日を増やす。』『人を採用する。』といった意見がどんどん出てまいります。この時、私が出した判断は『車両洗浄をする時間帯を最大限に交渉し、現場にいる他工程のスタッフに手待ちが発生した場合、応援に行かせる。』といった指示を出しました。

車両洗浄の時間帯を広げる交渉も、手待ち時間に応援にいくことになる社員に対しても、最初は反発や実施が難しい理由が出てまいります。『それだと他の作業に、影響が出ます。』『今まで、そういった運用は前例がありません。』

こういった意見が出る場合、必ず、目的に立ち返ります。”顧客の輸出台数を最大化する。”全関係者の共通目的であることを毎回、握ることが物流プロセスを改善する際に最も重要なポイントです。

 

■関係者の能力や努力を最大化させるのが私達の役割です。

これまで数十のロジスティクスサービスを企画し、運用を行ってきましたが複合的な知識に加え、関係者と協調していくロジスティクス事業は非常に難しいことだと思います。特に、日本国内で仕事をしている際、”何を言っているか?より誰が言っているか?”を重要視しているような風潮を感じており、関係者の考える機会や知恵を抽出しきれていない現場を数多く見てまいりました。

言い換えれば、日本国内の物流現場には多くの伸び代を持つと感じており、そこに当社の存在価値が出せるポイントがあると考えております。

ぜひ、この自動車輸出の現場を改善したいといったご要望があれば、当社スタッフへお声がけください。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。