お客様の成功を第一に考える

シンクロジスティクスの一木です。

今日は中古車輸出業界の発展に必要な物流サービス提供者側の視点について、お話させて頂きたいと思います。

 

■お客様はソリューションを求めている

いま、私達の業界は大きな変革の時期にあります。業界を見渡してみますと、港湾事業者を中心とする協力会社様においては世代交代による経営層の方々の入れ替わりが進んでいますし、「もっと事業を拡大しよう」「上流の事業領域にチャレンジしよう」という気運の高まりも感じています。現状に甘んじることなく果敢にチャレンジすることは、業界の活性化につながる素晴らしいことだと思っています。会社を成長させることを責務とするいち経営者としても、とても共感するところです。

一方で、事業を拡大していこうという物流サービス提供者側の変化が、お客さまである輸出事業者様の利益に結びつかない場合があります。 例えば、私は創業当初、自分がいいと思うサービスを作って「ここに土地がありますよ」「バンニングしますよ」とサービスの機能を売り込むようなやり方をしていました。一時的には売れましたが、突然仕事を外されてしまうこともありました。原因は、お客様のビジネスの成長に結びつくようなソリューション(解決策)を提供していなかったからです。

一台でも多くの車を輸出したいと考える輸出事業者様にとって、特定の機能のみを提供する業者より、自社に合ったソリューションを柔軟に提供してくれる業者のほうが信頼されるのだと実感しております。

 

■顧客視点に立つことの重要性

自動車輸出業界の発展は、輸出事業者様(荷主様)の成功なくしてはあり得ません。車の売り買い(商流)が増えなければ、物流量も増えないからです。ロジスティクスおよび物流サービスを作る際、真っ先に考えるべきは「荷主様の利益の最大化」であると断言させて頂きます。そして、それを実現するために最も必要なことは、荷主様の視点に立ってサービスを作るマーケットインの考え方ではないでしょうか。

例えばあなたが体調を崩して寝込んだとき、家族や恋人にはどのようなケアをしてほしいでしょうか。自分の様子を何も確認せずにその人の得意料理だけを与えられるより、どこが不調なのか、食欲はあるのか、などを色々確認して体調に合った食事や環境を整えてもらえるほうが嬉しいし、早く回復できそうな気がしませんか。物流サービスの提供においても同じことが言えると思います。
物流側の都合だけで作られたサービスは、荷主様の状況やニーズの変化に適切に対応しづらく、荷主様の利益を最大化できなくなるというデメリットがございます。荷主様のビジネスが滞って商流が減り、物流量が減れば、物流・ロジ事業者のビジネスも立ち行かなくなります。

実際に、過去に私が伸ばすことができた事業は顧客視点(荷主様の目線で最善策を考える)ができていました。反対に、できていない事業は衰退していきました。これは必然だと思います。

 

■ステークホルダーが多い業界だからこそ

日本の中古車輸出市場は、コロナ禍の落ち込みから回復の兆しを見せているものの、中長期的には電気自動車の需要増加に伴って2030年頃から縮小傾向に入っていくと見ています。今後はますます厳しい市場環境になることが予想されるため、関係者間でさらに強固な協力関係を築いていくことが業界を発展させていく上で不可欠であると考えています。

  • 物流・ロジ事業者が、荷主様の課題やニーズをお聞きした上で最適なサービスを作ること
  • 輸出事業者様に、スムーズな物流構築に役立つ情報をできるだけ早く提供・共有していただくこと

ステークホルダーが多い業界だからこそ、お互いに連携しようという意識をもつことが大切ではないでしょうか。

また、業界の発展を考える際に私達が避けなければいけないのは、自社の権利や利益だけを追求するような「部分最適」の考え方です。営利目的の企業なんだから自社第一で考えるのは当然だろう、とお叱りを受けてしまうかもしれません。

しかし、

  • 世界情勢や各国の規制等の影響をダイレクトに受ける、浮き沈みの大きい市場であること
  • エンジン車を軸とした今後の中古車輸出市場は縮小傾向であること
  • 物流工程が複雑で多くの関係者が関わるため、密な情報共有・連携が必要であること

これらを踏まえると、まずは業界全体や荷主様の成長にコミットする「全体最適」のやり方のほうが、結果的に各社の成長にもつながると信じています。

私自身、ここ数年は組織づくりや人材育成に多くの時間を割いていたため、協力会社様への配慮やコミュニケーションが足りず、私に対して不義理に感じていらっしゃる方もおられるのではないかと反省しております。今は頼りになる社員も育ってきていますので、業界全体の発展につながるような取り組みの強化に力を注いでいこうと決意を新たにしているところです。

共感していただける部分や、ご意見があれば、メッセージいただけると幸いです。

 

最後までご覧頂きありがとうございます。