中古車輸出ビジネスにおける「情報共有」の価値

シンクロジスティクスの一木です。

今回は、中古車輸出ビジネスにおける情報共有の価値について、ロジ事業者の観点から私の考えを共有させて頂きたいと思います。

 

■紅海ルートの混乱で海上運賃が高騰

昨年11月以降、海上交通の要所である紅海においてイエメンの武装組織フーシ派が商船への攻撃をくり返しており、日本の貨物船(日本郵船の自動車専用船)も拿捕されました。アジアとヨーロッパを最短で結ぶ紅海ルートが使えなくなったことで、多数の貨物船がアフリカ大陸を迂回するルートに変更せざるを得ない状況が続いています。

迂回ルートを選択すると追加の輸送日数と燃料費などがかかるため、海上運賃は2~3倍に高騰しています。貿易取引条件がFOB【Free on Board:本船渡し条件】の場合、輸入者が海上運賃を負担することになるため、海上運賃の増加分を現地での販売価格に転嫁できなければ自社の利益を減らすしかありません。輸出者が海上運賃を負担するC&F(CFR)【Cost and Freight:運賃込み条件】の場合は、車を輸出しても利益が出なくなる可能性がございます。

このような状況下でもビジネスを継続させるために、各事業者はそれぞれ対策を講じているところだと思います。

 

■有事の際にどう対処するか~当社の場合~

今回のような有事において、当社は次のようなことを行っています。

  1. できる限り多くの情報を収集する
  2. 現段階で起こり得る状況を洗い出してブレストを行う
  3. 船会社の見解や方針についてヒアリングを行う
  4. 輸出事業者が保有する情報についてヒアリングを行う
  5. 各所から収集した情報をもとに仮説を立て、ロジ事業者としての対応策を決める

対応策としては、「船積みを継続する」「船積み量を調整する」「船積みを一旦停止する」など様々な選択肢がございます。多方面から情報を収集・共有して日々変化する状況を見極めながら、お客様のビジネスにとって最善と思われるご提案をするように心がけています。

 

■物流・ロジ事業者が担う【情報管理】の意味と価値

私たち物流・ロジ事業者が担う機能は、【輸送・保管・荷役・包装・流通加工】に加えて【情報管理】がございます。ステークホルダーが多い中古車輸出ビジネスの情報管理で大切なことは、船積みに関わる情報やデータを適切に管理するだけではなく、関係者全員でリアルタイムに共有することだと考えております。

情報を共有することで認識のズレが生まれにくくなりますし、「船積み手配を適切なタイミングで止める/一気に進める」などオペレーション側も即応しやすくなるため、

  • 有事の際にスピーディーかつ適切に判断・対処を行い、損失を最小限に抑える
  • ビジネスチャンスにタイムリーに対応し、大きな利益を上げる

といったことが実現できるようになると思います。

特にこの業界は、世界情勢などマクロ要因の影響を受けやすいため、私たちはどのような状況でもビジネスを推進できるように対策することが肝要です。そのための価値ある手段として、お互いの情報を持ち寄って共有することの大切さを強調させて頂きたいと思います。

 

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