円安を考える。〜本質的な価値に全員がこだわる〜

 

SYNC LOGISTICS 一木です。

今回は現在進行している円安について、日本からの中古車輸出の観点から、みなさんと共有させていただきたいと思います。

■ドル円レート、130円が意味するもの

 

2011年4月。私は新卒で自動車を専門に扱う商社に入社いたしました。

東日本大震災が起こり、日本中が混沌としていた中で、ニュースでは「円高」について盛んに議論をしていたのを未だに覚えています。

為替相場は市場の雰囲気や投機的なお金の動きによっても左右されるものだとは思いますが、本来はその国の経済力を反映するものとして私は捉えています。

どれだけ大きな付加価値を生産的に生み出せるか? どれだけ多くの資本が国全体で蓄えられているのか? を他国と比較し、相対的に強ければ通貨高に、弱ければ通貨安になるものと捉えています。

1ドル80円を切っていた約10年前、円高の状態であっても日本の中古車はどんどん輸出されていて「円の価値は割高でも、日本製品が必要とされている」状況を目の当たりにし、自分がいかに恵まれた国に生まれたのかを強く実感しました。

そのドル円レートが、このゴールデンウィーク中に1ドル130円まで円安に進みました。割合にして約40%、ドルに対しての価値が下がっている状況の中、日本からの輸出を支援する事業者として、しっかりと向き合っていきたいと考えています。

 

■事業を通じて、私たちが生み出すもの

2013年7月。私は商社の新規事業としてロジスティックスサービスを構築し、その事業をMBOしたことでSYNC LOGISTICSの社長に就任いたしました。

手探りでサービスを構築していく中で、当時の私は粗利益をしっかりと作っていくことに強いこだわりを持っておりました。

勤めていた会社の社長から「固定費を抑えながら、粗利益を出すビジネスモデルが筋肉質な経営につながる」ことを教え込んでもらった影響もありますが、私自身、提供するサービスは「世の中にとって価値あるもの」でありたいと強く思っておりました。

と言いますのも、実は新卒で入社をする予定であった会社に内定取消しを受けた経験があり「必ず、世の中に必要とされる人間になる」という想いがあったからでした。

ご存知のように粗利益は売上から原価を引いたもので、提供するサービスの「付加価値」を表しているものです。

サービス開始当初、当社のビジネスモデルはノンアセット型を中心としておりましたので、「間を仲介するだけ」の価値の低いものであったと思います。

その中で、お客様が求めている価値や不便に感じているポイントを丁寧にヒアリングし、サービスを組み上げることで、より粗利益(付加価値)を作れるサービスに形を変えてまいりました。

当社のサービスがコンテナのVANNING作業のみから、国際複合一貫輸送や3PLといった拡張を進められたのは、一貫して付加価値の最大化に強いこだわりを持っていたからでございます。

■付加価値を大きく、濃くすることを追求する

 

私が創業した2013年に、日本は量的緩和と呼ばれるお金を大量に刷る政策を実施しました。

私は金融の専門家ではありませんが「生み出している価値の総量は変わらず、円の量が増えれば、1円当たりの価値が下がる」ものとして捉えています。

円安が進み、海外の日本製品が割安になったことは中古車輸出業界全体が恩恵を受けていたと思います。それから約10年が経ちましたが、日本全体の中古車輸出台数は大幅に増えておりません。コロナの影響もあり、ここ2年は減少傾向にあります。

こういった現状であるからこそ、私はお客様に対して「もっと成功してください」。協力会社様には「もっと価値あるサービスを創りましょう」。社員に対しては「もっと自分の価値を高めよう」といったことを、色んな表現でお話をさせていただいています。

円安には様々な影響がありますが、輸出事業者から見れば、海外から見た日本製品の価格が下がるため追い風になります。

しかし追い風であるからといって、安易に輸出事業者に対して値上げを求めるといった施策を考えるのではなく、輸出を伸ばすための支援や取り組みを推進した上で、成功をシェアする、という形にこだわってまいりたいと思います。ゴールデンウィーク以降、より多くのお車を業界全体で送り出していければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。