付加価値の創り方 ~ 理解し、人を惹きつける ~
SYNC LOGISTICS 一木です。
今回は、先週の続編。付加価値のつくり方について共有させていただきたいと思います。
■利害関係や、意図を理解する
これが、最初の一歩だと思います。
自動車が日本から輸出されていく中で、さまざまな立場の方の間で利害関係が生じることになります。
会社、職種、役職によって一人ひとりが持っている役割や権限が異なる中「一台の車を輸出する」という価値をつくりあげるのは、本当に難しいことだと思います。
自動車輸出事業に携わるチリ向けのセールスマネージャーであれば、売上や粗利といった責任を会社に負いながら、チームメンバーの育成をし、販売実績に応じてインセンティブが発生している可能性もあります。
通関会社の実務担当者であれば、通関業法というコンプライアンスを遵守しながらミス無く業務を進める必要があります。加えて、本船の入港が迫り一日当たりの船積み依頼が増加していく中で、就業時間内に業務を終えるという制約が生まれます。全関係者、役割や責任の違いから異なるプレッシャーの中、業務に励んでおられます。
初対面の際でも、日常業務の際でも、こういった利害関係を積極的に理解しようとする姿勢が最初の一歩であり、そこを理解することで、関係者にメリットがある取り組み(付加価値)になり得る部分を見いだせるようになります。
手前味噌で恐縮ですが、私が新卒で働いていた頃のこと。
直属の上司はもちろん、社長、お客様や、協力会社様にまで日々「これって、何のためにやるんですか?」「これって、どういう意味ですか?」「これって、こういう風にやり方変えてもいいですか?」といった質問をし続けておりました。
手のかかる新卒だったと思いますが、一緒に仕事をする方々に対し、高い関心を持ち続けることは私にとって大切なことであり、ロジスティクスサービスを構築する人材にとって、重要な才能だと感じます。
■目的を明確にし、共通のメリットでくくる
関係者一人ひとりの利害関係を理解できるようになると、互いにメリットになる部分とならない部分を分類できるようになります。
車の販売をされる方は、本船出港直前まで船積み依頼を受けつけてほしいと思われるでしょうが、ギリギリの通関申告になるとミスも起こりやすく、実務側の業務負荷が一気に上がります。
一方で、基本的に全関係者が営利目的の企業であることを考えれば、一台でも多くの自動車が効率的に輸出されていくことは、共通のメリットになります。
私は、こういった分類を「価値の因数分解」と呼んでいます。
関わるみなさんは、多忙な毎日を過ごしている方もいれば、なんらかの理由で仕事における適切な評価を受けることが出来ていない方、また10年前の私のように、知識や経験が不足していて「何のために自分がその業務をしているのか?」が自分でもよく理解できていない方もいらっしゃいます。
そういった方々と相対した時に「私達ってこういった共通のメリットと目的で、このサービスを創るんですよね?」といった合意を重ねることで、より多くの方の賛同に加え「これまでやったことのない取り組み」に対するチャレンジ意欲が、関係者の中から生まれるようになってまいります。
■先に、『やります。』と言ってしまう
関係者にとっての共通価値を把握できたあとに「実現可能性」という大きな壁が出てまいります。
「失敗したら、どうしよう」
「想定外のことがおきたらどうしよう」
「どんな風になるかわからないものに、責任追求されるのはいやだなぁ」
こういったことが関係者の頭をよぎり始めると、大小に関わらず、取り組みは停滞することになります。
特に日本は古くから、失敗したら切腹をする、役職を退くといった責任の取り方が文化としてありますので、実現可能性を強く意識してしまう風潮があると思います。
ゆえに、これまでやってきたことの延長線上のサービスや取り組みに多くの時間を割きがちです。
世の中に必要とされるサービスではなく、自分達がやれそうなことにフォーカスする。こういったことがさまざまな場面で起きているように感じます。
そういった状況の中で、付加価値をつくる場合に私が心がけているのは、自分一人でできないとわかっていることであっても「はい。やります」と先に発言すること。決して安易な受け答えをしているわけでなく、意志を持って取り組む姿勢を示すことで、
・自分の発言が実現できるように、真剣に知恵をひねり出すようになる。
・一緒にチャレンジしてくれる仲間や支援者が増えていく。
といった効果が生まれるからです。
慣れるまでは、非常に勇気がいることだとは思いますが。
世の中から必要とされるサービス(付加価値)を創出するには「自分ができるか?」を完全に棚上げできるような方法や、人材をかき集めるようなプロセスが必ず出てまいります。
実際にこれができるようなると仕事が本当に楽しくなりますし、プライベートにおいても自分の可能性を大きく信じられるようになります。
2020年代。より多くの付加価値(世の中に必要とされるサービス)を次々に創出していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。