新卒研修を終えて

 

■新卒社員 5名を受け入れるまで。

 

2020年の11月。社内の経営会議において新卒採用の開始を決定いたしました。

 

同年の1月から新型コロナウイルスが猛威をふるい、4月から5月にかけては昨対比50%まで売上が落ち込むといった経験をし、

徐々に自動車輸出台数が戻ってきていた最中でございました。

 

当時の経営会議では「育成はどうやってやるんですか?」「即活躍してくれる人材のほうが助かります」といった意見が出ましたが、

大きく分けて2つの考えの中、新卒採用を開始いたしました。

 

1つ目は、社内の活性化です。会社を設立してから、約10年。

学生時代の友人や縁故採用、大手求人媒体を利用して中途採用された社員を中心に会社は構成されていました。
私も含め、設立当初は20代から40代で構成していた社員達も、30代から50代の構成に10年分そっくり移行していた状況でございました。

 

長く働いてくれる社員が多いことは良いことだとは思いますが、少なからず組織のマンネリを感じており、今後も会社として大きな成長を続けていくためには「短期間で、大きな成長を遂げていく若い新卒社員」を入れることが、大きな活性化につながると考えました。

 

2つ目は、日本にいる若年層のグローバル人材を確保したいと考えたからです。

私たちの業種は語学スキルや異文化への適応力という点で、航空関係や旅行関係の人材とかぶりやすい業種になります。
ご存知の通り、2020年は世界における人の行き来が制限されたため、前述の2業種は採用を縮小していた状況でございました。

こういった海外への関心が高い人材を受けいれることは、本人達にとっても私達にとってもプラスに働くと判断し、採用に踏み切ることにいたしました。

 

■新卒研修の資料 300ページの社長研修

 

新卒を受け入れる上で、最も全社をあげて取り組んだものが研修制度でございました。

4月1日に入社した5名は2週間(80時間)の研修を受けます。

カリキュラムとしては、ビジネスマナーやロジカルシンキング、社内全体の部署の説明や基礎知識の説明、および博多の港運会社様、港湾局様のご協力のもと、港の見学を実施しました。

一気に知識をインストールしたので新卒社員たちも大変だったと思いますが、通常業務をこなしながら研修資料を作成し、研修を実施した社員達には感謝をしていますし、良い経験になったと思います。

新卒研修には、もちろん私のパートもございました。約30時間。スライドにして300ページ分の研修を私が担当いたしました。
具体的には「なぜ、私がこの会社をやっているのか?」「なぜ、この会社名にしたのか?」「これから、どんな会社にしていこうとしているのか?」といった本質的な内容から、どんな風になっていって欲しいということを明確に伝えました。

 

日本に約360万社の会社がある中で当社に入ってきた社員達には高いモチベーションで働いてもらいたいですし、私が考えている理念や目的を共有することは”同じ船に乗る仲間として、伝える必要がございました。

 

現時点で、本人達の成功を誰よりも信じていますし、3年後には別人になったかのように成長した姿になって、会社の中心メンバーとして働いてくれることを期待しています。

 

他にも、現在ある事業がどんな価値を提供しているか、サービスをつくる上で活用している考え方(制約理論)、事業(サービス)の作り方、といったテクニカルなものも実施いたしました。私にとっても、自分の考え方を整理する有意義な時間でした。今後、現在働いてくれている社員達に対しても、類似の研修を導入してまいります。

 

■新卒を受け入れたことの効果

 

当初の目論見どおり、会社の活性化には一定の効果が出たと感じます。

 

社会人の先輩として、目線を上げた会話をしようとしている社員が出てきましたし、研修を実施する中で会社の中の感覚的な部分の言語化や体系化が進んでまいりました。

 

例えば、社内で利用する言葉の定義が統一されたり、会社の業務の中で漏れやダブリがあった部分の切り分けが進んだりしました。


また、今回の新卒採用を機に「採用~育成~活性化」を担う人事部門を新設することで、評価制度の構築や社内研修制度の導入が進んでいます。

これまでは大きな成果を上げた一部の社員だけが評価を集めたり、自己研鑽に関してはそれぞれの社員の自主性に委ねたりしておりました。

段階的な成功の評価を入れたり、会社の方針にそった資格制度を提示したりすることで「どう、頑張ればいいのか?」が明確になり、仕事への取り組み方が変わった社員も出てまいりました。

 

こういった制度を導入する中で、社員の中でアレルギーのような反応が出てしまうこともありますが、カオス状態の当社に入社をし、めげずに様々な施策を打ってくれている人事チームには本当に感謝しています。

 

まだ、これからも組織のアップデートは続いていきますが、この人事チームが当社の強みといえる部分にしてまいります。

私達が事業を営んでいる中古自動車輸出の業界では、こういった人事に特化した部門を持つ会社は少ないのですが、成功事例として、ノウハウを共有していくのが私の夢の1つです。最後まで、ご覧いただきありがとうございます。