ウラジオストックー七尾航路 初寄港

■昨年に引き続き、実現した初航路の舞台裏

SYNC LOGISTICS 一木です。

今回は7月30日(土)に石川県七尾港から初就航した船積みについて共有させて頂きたいと思います。今年の1月にウラジオストックへ出張してから約半年間。ロシアのウクライナへの侵攻が続き不安定な情勢の中、日本からの積み出しを実現できたことについて大変うれしく思っています。今回の船積みの実現にあたって、海運業界未経験で入社1年にも満たない当社のスタッフが企画及び構築を行ったこと。海運における日本の立ち位置や、今後、主流になり得る中古車輸出物流のトレンドをみなさんに共有させて頂きたいと思います。

■できない理由よりどうしたら出来るかを考えよう

今回、船積みを実現したのはRUSSIAの船会社 Japan Auto lines様(https://jalauto.ru/en)が保有する在来船 “Baikal” を寄港させるにあたり日本代理店として、船積みに携わらせていただきました。実際に弊社が手配を行ったのは石川県の七尾海陸様(http://www.nanaokairiku.co.jp/)と協業し、中古車の船積みサービスの構築及び、船舶代理店業務のサポートに入らせて頂きました。七尾港は能登半島の中央部、七尾湾の南湾に位置し、古くは中国との貿易も盛んであったようです。今回、この七尾港に船を寄せるお手伝いをすることになったのには様々な要因がございます。ウラジオストック向けであったため、太平洋側に比べて日本海側の方が優位性が高かったこと。最もウラジオストック向けの船積みが盛んである伏木富山港へ隣接した港で近隣港での船積みのニーズが高かったこと。今回のプロジェクト責任者が七尾出身であったこと。といった条件が重なった船積みでございました。こういった新規性の高い船積みにおいては、関係者の収益面や作業の安全面、滞りなく船積みを進められるか?といった懸念点が多くあり、”やれない理由”を出すことはいくらでもできたと思います。受け入れるYARDの確保や運用。輸出通関、船の入出港手続きや船への積み込み。関係各所への調整。ロジスティクス事業者として、物流の専門知識に加え”人間力”が試される場面が何度もございます。なぜ、このサービスをつくりたいのか?この企画に取り組むことで関係者にどんなメリットがあるのか?そして、何より推し進める担当者が”この企画を成功させたいという強い意思を言動で示し続ける必要があります。特に私達が提供するロジスティクス事業は船、車、荷役、通関、港湾といった多くの専門分野のノウハウを一つに統合することでサービスを組み上げていきますので、経済合理性と想いを両立させられる人材だからこそ、初サービスの企画推進者を担うことができます。

■日・中・韓から中・韓・日へ

今回のロシア向けの船積みにおいて、関係者の皆様に共有したいポイントがございます。今回の件を皮切りに『実荷主様が自力で船を見つけ、配船のサポートをして欲しい。』というリクエストが増加しております。『中国や韓国の運賃が高く、日本側にスペースを割り当てることが難しいです。日本は抜港することになりました。』ここ数年、船会社様から何度もこういったセリフを聴くようになりました。韓国の2021年中古車の輸出台数は過去最高を記録しており、日本からの3国間輸出にとりくませる日本の荷主様もどんどん増えていっている印象がございます。また中国には2022年8月時点で約300社の電気自動車メーカーがあることもあり、東アジアにおいて日本車のスペースは更に取りにくくなることが予想されます。こういったトレンドの中、日本の荷主様は”船会社様やその代理店の方々と良好な関係性を築きながらも自社で船を見つけ配船を試みる必要性があると感じます。こういった商社やメーカーが自社で配船企画を行うことは、石炭や木材などの業界では頻繁に行われております。世界中を見渡せば船を見つけることはできますし、将来、自社で船を持つ荷主様が出てくるかもしれません。その際に、各港湾における法律や慣習を踏襲した手配を請け負うことで、仕入れや販売に注力しやすい状況をつくり続けることが私達、ロジスティクス事業者の仕事になってまいります。

 日本において配船を行う場合には、各地域で事前協議と言われる港湾事業者の方々による事前の確認作業が必要な場合がございます。どういった荷主が、どういった目的で、何をどの程度取り扱うかを事前に確認することで、各社に与える影響を事前に把握し対応を行います。場所や荷役の人員に限りがある港湾でこういった事前の話し合いを行うことは、同業者間の不必要な争いを防ぎ、地域によっては荷役人員の貸し借りを行うことで安定した船積みを確保することができます。こういった各港における調整も当社の荷主様向けのサービスとして組み込んでいくことで、日本における配船をより身近なものにしていけると考えています。加えて、海外の船会社様の新たな寄港をしやすくさせる側面もございます。私自身、日本における輸出入はもっとポテンシャルを秘めていると信じておりますし、問題を解決する方法はいくらでもあると思っています。新規の配船にご関心があれば、ぜひ当社の営業へお問い合わせいただければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。