請け負う責任と依頼する責任

請け負う責任と依頼する責任

SYNC LOGISTICS 一木です。

今回は、自動車輸出業界における「請け負う責任と依頼する責任」について
私の考えを共有させて頂きたいと思います。

 

■物流・ロジスティクス事業者が請け負う責任

以前のブログで『日本からの中古車輸出の活性化をするには?』についての記事を書かせて頂きました。
https://www.sync-logi.com/ja/blog/0003/

  • 「物流を増加させるには、売り買い(商流)を増加させる必要がある。」
  • 「関係者の発展を目指すには、最初に成功するのは自動車輸出事業者様になる。」

といった内容でございました。

私達ロジスティクス事業者は、自動車輸出事業者様が販売するお車を、早く、廉価に、安定的に海外にお届けできるように人材を確保し、車両が滞りなく搬入できるようにYARDと呼ばれる保管スペースの増減を実施します。加えて、お客様の商流支援までをサービスの提供範囲としている弊社では、マーケットの情報共有やコスト削減の提案をやり続ける責任がございます。

 

■輸出事業者が依頼する責任

それに対して、輸出事業者様は船積みを進めるために必要な情報を物流・ロジスティクス事業者へ提供していただきます。車一台を輸出するには、輸出通関に必要な情報はもちろん、船積みする船の情報、車の情報をできるだけ早く効率的に提供して頂くことは、自動車輸出に関わるすべての関係者が望むことであり、お客様のキャッシュフロー改善や現地でお車をお受け取りするエンドユーザーへの満足度向上につながってまいります。

■契約と信頼関係

一般的な日本における企業間の取引の場合、取引の内容を明記した契約書が交わされるかと思います。契約期間、サービスの提供場所や方法、業務範囲などが明記され、その内容に沿って取引が開始されます。

それに対して、中古車輸出(海運)業界は契約書を作成することが少なく、「問い合わせ〜見積り〜依頼〜請求」というシンプルな手続きで取引が開始されます。
おそらく、ビジネスが始まるスピードが非常に早いことや日本特有の『阿吽の呼吸』や『関係性』で帳尻をあわせて来たのだと思います。

一方で、契約をあまり重視しないことによって、業界内では多くの軋轢が生まれやすい構造になっていると感じています。
例えば、船のスペースを仮抑えして、他の好条件が出た場合に予約にキャンセルを入れること。
例えば、ロジスティクス事業者側の一方的な都合で、ご搬入の停止をお願いすること。

「ビジネスだから、しょうがない」と割り切ることもできるかもしれませんが、私には短期的な収益を上げるために『関係者における信頼』を切り崩し、リスクを伴う中長期的な挑戦をしづらくしているようで、つらい気持ちになります。

幸い、私がこれまでに担当させて頂いたお客様は、撤退や事業規模の縮小といったネガティブな情報を早めにいただけることや、積極的に営業や企画を続けられるお客様が多かったため、多少ご依頼内容が荒い状態でもご支援を続けるスタイルを取らせて頂きました。

しかしながら、現在の私の意見は、輸出事業者様の成功が最優先でありながらも、関係者の期待値をすり合わせた上で『契約を書面にする慣習』を業界全体に定着していくべきではないかなと感じています。

ご意見、ご感想などを頂けたら幸いです。
最後まで、ご覧頂きありがとうございます。